秘密/東野圭吾
映画化もされてこの作品を今の今まで見なかった秘密。

広末が主役だから。

秘密でもなんでもないし;
ま、なにが言いたいかというと映画化する時はキャスティングの如何が
原作本を手にとってもらえるかにまで関わるのでは、という話。
でも最後まで楽しめる話だった。
この前呼んだ浅倉卓弥の「四日間の奇跡」にも通じる設定だけど、
こっちは結末が簡単にわかっちゃったのに対して、
やっぱりベストセラーとして年季を見せたというか、最後にヒネリが入れてる
ところがさすがだと思った。しかしせつない話。
あと本筋とはあまり関係ないけど

「誰だっていつまでも子供でいたいわけだよ。馬鹿だってしたい。だけどそれを周りがみとめなくなるんだな。あんたそろそろお父さんなんだからしっかりしなさいとか、もうおじいちゃんなんだから落ち着きなさいってことになっちゃう。違うよ俺はただの一人の男だよなんて言っても、許してくれない。子供が出来たら父親だし、孫が生まれりゃじいさんなんだ。その事実から逃げられないんだよな。だったら、自分はどんな父親になれるか、どんなじいさんになれるかを考えるしかないんじゃないか」

「もうおにいちゃんなんだから」「もう高校生なんだから」
同じ構造の言葉であるにも関わらず、それが投げかけられる風景を想定したときにこみ上げてくる感情がこうも違ってくるのはなぜなんだろう。
あと五年、十年したらもっとこの言葉の意味がわかるようになると思う。
それは怖いし、できれば避けたいことだけど、やっぱりそれはやってくるもので。
そういう時が来る前に、こういうセリフに出会えたのが嬉しかったし、こういうことが
本を読むことの意味なんだと思う。